十八歳、いのち奪われてなお―鎮魂 沢田知代 ある「交通殺人事件」記録
十八歳、いのち奪われてなお―鎮魂 沢田知代 ある「交通殺人事件」記録
沢田 立夫

定価: ¥ 1,260
販売価格: ¥ 1,260
人気ランキング: 822655位
おすすめ度:
発売日: 2005-08
発売元: かんぽう
発送可能時期: 通常1〜2週間以内に発送
真実は?
著者は立派な小説家である。しかし、この本では小説的な文章の技法等は一切使わず、愛する娘をおそった理不尽な死に対し、ある時は詳細な推理を、又ある時は悲しみのどん底からの遺族の叫びを正直に書きつづけているように思われる。それ故、読み手によりインパクトを与えている。「娘が生きていた十八年余りの月日は、子供たちがわたしたちに与えてくれた幸せな時間だったんだと、いま頃になって気づきました。」「私たちがしてやれるのは・・、絶えず人のことを気づかい真面目に一生懸命生きていた娘との思い出を記憶にとどめ続けること、加害者や心ない警察官によって弄ばれ、これでもかこれでもかと言わんばかりに傷つけられた名誉を回復やることしか残っていないのです。」こんな文章が心にくさびを打ってくる。最近、警察の不祥事・庶民離れが大きな問題になっているが著者が知りたいのは真実のみである。足を棒にして必死に証言を集めながらも警察とかみ合わない無念な姿が浮かんでくる。真実をみる鏡はないのであろうか? 又、昨今“おもいやり”他人を思いやる心が希薄になっているといわれている。著者も人間不信に陥った時期があったようであるが、最後は人間を信じる気持で感謝の言葉で締めくくっている。天国にいる知代さんも「おおきに お父ちゃん」といっているような気がするのは自分だけではないだろう。
目撃者
身内の生死にかかわることとなれば、「真実は神のみぞ知る」などと諦めてしまうことはできない。
交通事故の当事者が、加害者と死んだ被害者の2人のみに近い状況では、被害者の側は決定的に不利になる。家族は自分で目撃者を捜し、証言を組み合わせ、推理し、ほころびを見い出し、神のみが知る真実に一歩一歩せまっていくしかない。それは、読んでいて息苦しくなる程である。著者は小説を書く人らしいが、これは著者自身のドキュメンタリーである。
交通事故遺族の戦い
交通事故の被害者は、事故当初警察がちゃんと捜査して、加害者を処罰してくれるもの、また検察も、検証してくれると思っていました。特に死亡事故の場合は、即刑務所へ行くと・・・。しかし、実態は軽く扱われ、被害者が、この本のように最愛の娘さんへの思いから、苦しみ、押しつぶされそうな辛さの中、行動しなければならない。それは、捜査、検証機関の中に交通事故だから仕方ないという考えが底辺にあるように思う。仕方ないではすまされない。親の思い、命の重みを感じて欲しい。交通事故。これは突然、誰にでも起こりうることです。
沢田 立夫

定価: ¥ 1,260
販売価格: ¥ 1,260
人気ランキング: 822655位
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発売日: 2005-08
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著者は立派な小説家である。しかし、この本では小説的な文章の技法等は一切使わず、愛する娘をおそった理不尽な死に対し、ある時は詳細な推理を、又ある時は悲しみのどん底からの遺族の叫びを正直に書きつづけているように思われる。それ故、読み手によりインパクトを与えている。「娘が生きていた十八年余りの月日は、子供たちがわたしたちに与えてくれた幸せな時間だったんだと、いま頃になって気づきました。」「私たちがしてやれるのは・・、絶えず人のことを気づかい真面目に一生懸命生きていた娘との思い出を記憶にとどめ続けること、加害者や心ない警察官によって弄ばれ、これでもかこれでもかと言わんばかりに傷つけられた名誉を回復やることしか残っていないのです。」こんな文章が心にくさびを打ってくる。最近、警察の不祥事・庶民離れが大きな問題になっているが著者が知りたいのは真実のみである。足を棒にして必死に証言を集めながらも警察とかみ合わない無念な姿が浮かんでくる。真実をみる鏡はないのであろうか? 又、昨今“おもいやり”他人を思いやる心が希薄になっているといわれている。著者も人間不信に陥った時期があったようであるが、最後は人間を信じる気持で感謝の言葉で締めくくっている。天国にいる知代さんも「おおきに お父ちゃん」といっているような気がするのは自分だけではないだろう。

身内の生死にかかわることとなれば、「真実は神のみぞ知る」などと諦めてしまうことはできない。
交通事故の当事者が、加害者と死んだ被害者の2人のみに近い状況では、被害者の側は決定的に不利になる。家族は自分で目撃者を捜し、証言を組み合わせ、推理し、ほころびを見い出し、神のみが知る真実に一歩一歩せまっていくしかない。それは、読んでいて息苦しくなる程である。著者は小説を書く人らしいが、これは著者自身のドキュメンタリーである。

交通事故の被害者は、事故当初警察がちゃんと捜査して、加害者を処罰してくれるもの、また検察も、検証してくれると思っていました。特に死亡事故の場合は、即刑務所へ行くと・・・。しかし、実態は軽く扱われ、被害者が、この本のように最愛の娘さんへの思いから、苦しみ、押しつぶされそうな辛さの中、行動しなければならない。それは、捜査、検証機関の中に交通事故だから仕方ないという考えが底辺にあるように思う。仕方ないではすまされない。親の思い、命の重みを感じて欲しい。交通事故。これは突然、誰にでも起こりうることです。